Ferghettina フェルゲッティーナ |
熟成美を追求するフランチャコルタ「フェルゲッティーナ」
◆フランチャコルタ地域について◆
州都ミラノがあるイタリア北部ロンバルディア州の東部に位置するワイン生産エリアで、緯度は北海道利尻島とほぼ同じ北緯45度に位置しています。
またこの地は、観光地で有名なイゼオ湖(右写真クリック)の近くにあり、大昔の氷河によって作られた地形で知られています。
この地では、イタリアワインに4段階ある格付けのうち、最上位の等級であるDOCG認定を受けたスパークリングワインで、地名でもある「フランチャコルタ」というワインを産出しています。
大昔に氷河により出来たイゼオ湖の存在はフランチャコルタ地域に与える影響はとても大きく、この恩恵は下記の通りに要約できるでしょう。
1)最大水深250mと非常に深い ⇒ 水の温度変化が一年を通して少ない
2)イゼオ湖の南に位置するフランチャコルタ地域は、冬場は北にあるアルプス山脈から吹き降ろしてくるとても冷たい風を、イゼオ湖が温度調節してくれる
3)このアルプス山脈の冷たい風が夏場の夜にも吹くことで昼夜の寒暖差が生まれ、スパークリングワインには理想的な葡萄へと成熟し、完熟した葡萄が収穫できる
4)さらにアルプス山脈から常に吹き降される風は、葡萄の病害を減らし健康で元気な葡萄が収穫できる
この環境下で育った葡萄は、フランスのシャンパーニュと同様の瓶内二次発酵の製法と長い熟成を経て、フランチャコルタとなるんです。
製法などには厳しい規定があり、法定熟成期間はスタンダードなものでもシャンパーニュの15ヶ月よりも長い、18ヶ月以上の酵母との瓶内熟成が義務付けられています。
また、このような特徴的な生産地であるが故に、ワインの生産量を増やせない場所になり、シャンパーニュに比べると僅か5%ほどの量しか生産出来ていません。 それ故、ワイナリー毎の個性が表れるのがフランチャコルタの最大の魅力ともいえるでしょう。
【補足:生産規模について】 ※フランチャコルタ地域 ・栽培面積2,902ha ・年間生産量2000万本 ※シャンパーニュ地域 ・栽培面積34,000ha ・年間生産量3億731万本 ※スペインCAVA ・栽培面積33,000ha ・年間生産量2億5000万本
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◆フェルゲッティーナについて◆
フェルゲッティーナは、Gatti(ガッティ)家が経営する家族経営のワイナリーです。
現在のオーナーであるRoberto Gatti(ロベルト・ガッティ)さんが1991年に立ち上げたワイナリーで、生まれも育ちもこのフランチャコルタのロベルトさんは、若くしてワイン作りの世界に入った人物です。
ロベルトさんは無口で働き者、「頑固職人」という言葉がぴったり。
情熱をもって取り組む姿勢が高く評価され、僅か23歳の時に名門ワイナリー「ベッラヴィスタ」の醸造と栽培、両面での責任者に抜擢され、以来ワイン作りに没頭してきました。
家族でワイナリーに住み込み、この名門の地位を築き上げてきました。 そして、そのロベルトさんが自身のワイナリーとして立ち上げたのがこのフェルゲッティーナなんです。
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◆フェルゲッティーナのポリシー
フェルゲッティーナには、ロベルトさんの長い経験や知識が集約されていて、彼にはフランチャコルタに求める3つの哲学があります。
1)繊細さ(上品さ) 2)純粋さ 3)熟成美
これらを追求するための最大のポイントは「贅沢な果汁」。 なんと、自社で収穫した全ての葡萄のうち、フェルゲッティーナのフランチャコルタとなる果汁の量は2割に満ちません。
つまり、収穫した葡萄のうち、品質の見合わないものを半分他の生産者に売却し、残ったとても高品質の葡萄を搾ります。
これはとても繊細な作業で、特殊な圧搾機で優しく葡萄を搾ります。 フランチャコルタの規定では、65%まで搾ることが認められているにも関わらず、フェルゲッティーナでは僅か35%しか搾りません。
果汁は見たことのないほどの透明感を放ち、搾られた葡萄の実が、まだ丸い形を保っていて、結果的には葡萄全体から得られる果汁の量は僅かに17.5%と、2割に満たない贅沢果汁が出来上がるそうです。
【補足:圧搾について】 フェルゲッティーナではフランチャコルタ用に贅沢果汁を絞った後、残された葡萄実をもう一度絞るそうです。 ワイン法的には、この2度目に搾られた果汁をフランチャコルタに使用することが認められていますが、フェルゲッティーナでは・・・ 2度目に搾られた果汁からは「量り売り用ワイン」として白ワインや赤ワインが醸されています。 地元でしか味わえないハウスワインとして珍重されています。
そしてもう1つのポイントは、シャンパーニュの熟成規定よりも、さらに長い熟成期間を取ることです。
根っからの職人であるロベルトさんが求める味を追求した結果・・・ スタンダードな「フランチャコルタ ブリュット」でも規定の18ヶ月を超え、最低でも36ヶ月は熟成させます。
「エクストラ・ブリュット」は、規定の36ヶ月の2倍の72ヶ月以上、「パ・ドゼ」に至ってはは、何と82ヵ月の熟成をさせる拘りです。
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◆良いワインは畑から◆
フェルゲッティーナの高品質なフランチャコルタの基礎は、畑での仕事にあるといえます。
ワイナリー設立当初は5haだった畑も、現在は110haまでになりましたが、今でも畑の植樹から栽培の管理まで全てフェルゲッティーナで行っています。
しかし、一言で自社栽培を行っているといっても、その管理はとても大変なもので、畑は8つの村にまたがり約100ヶ所も存在し、栽培管理はもちろんのこと、収穫まで全て個々に行う必要があります。
では、この多種多様な畑を所有する利点は何か? それは、畑により葡萄の質が異なるので、良い葡萄だけを選べること。
そしてヴィンテージの良し悪しに左右されにくいことといいます。
収穫までの全ての苦労はワインため。フェルゲッティーナのワインが素晴らしい理由の1つがここにあります。
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◆ピラミッド・ボトルについて◆
熟成美を追求するためには、単に熟成期間の問題だけではありません。
フェルゲッティーナが醸すいくつかのフランチャコルタは、通称「ピラミッド・ボトル」と言われる特殊なボトルを採用しています。
このボトルは、ワインにより深い旨みを持たせたい・・・との思いから、熟成の際に出てくる葡萄由来の滓(おり)と触れる面積を広げるよう計算された形状になっています。
泡立ちきめ細かさ、洗練された余韻を追求し、遂には特許まで取得したボトルです。
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◆フェルゲッティーナの次世代を支える「後継者」
長女であり、父を支えるラウラさんは、幼い頃よりベッラヴィスタの中で育ち、彼女にとってフランチャコルタは非常に身近なものだったといいます。
ミラノの醸造大学を卒業後は、父の立ち上げたワイナリーであるフェルゲッティーナを手伝い、今やワイナリーの方針、品質管理などは父ロベルト・ガッティ氏とラウラさんが相談して決めるほどにまで成長しました。
また無口な父親にかわってマーケティングなどを一手に担っています。 人当たりがよく、仕事熱心で真面目な女性です。
ラウラさん自身がフェルゲッティーナのワインのように純粋で素直、そして家族愛にあふれた環境で育ったと感じさせてくれます。
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Ricordi del passato
(2008年5月26日フェルゲッティーナ来店試飲会)
Ricordi del passato
(2023年5月10日フェルゲッティーナ来店)