Passopisciaro パッソピッシャーロ |
◆シチリア島エトナ山
シチリア島の東側にあるカターニャ空港へ降り立った時、まず目に入るのがエトナ山。 1992年に大噴火を引き起こしたヨーロッパ最大の活火山です。
シチリア島なので暑いと思われるかもしれませんが、3月中旬頃までは積雪もあり、実はスキー場もあるんです。
さて、このエトナ山の北側を東へ登っていくと、景色は地獄の来たかの様な形相となり、時間が止まったかの様に固まった溶岩に囲まれていきます。
◆パッソピッシャーロの周辺
この溶岩で出来た景色の中、標高600メートル付近に忽然とワイナリー「パッソピッシャーロ」が現れます。
周りには階段状に畑が存在し、密植で高さ30~40センチ仕立てでシャルドネ種やプティ・ヴェルド種、ネレッロ・マスカレーゼ種が盆栽のように並んでいます。
このネレッロ・マスカレーゼ種は、樹齢60~100年のアルベレッロ・クラシコ(支え無し仕立て)で植えられ、こう光景はなかなかお目にかかれるものではありません。
現在も活火山の中腹500~1000メートルに葡萄畑があり、この標高は昼夜の気温変動幅が非常に大きく、葡萄がゆっくり成熟していく環境を提供します。 (遅い時には、11月に収穫することもあります)
この地に足を踏み入れた私〈Francesco〉は感じました。
マグマの養分(=地球の血液)+シチリアの太陽+髙樹齢+厳しい自然環境 これらが複雑に交わり、作り出されたワインが、魅力的でないはずが無い・・・と!
◆パッソピッシャーロの葡萄畑
パッソピッシャーロの畑は、エトナ山北斜面にあります。 通常、北斜面は日照角度が浅くなるため、ワイン葡萄の栽培には適さない・・・といわれています。
でも、この辺りの畑は全てテラス式のため、その問題は全くありません。
また、エトナ山北斜面は、南斜面に比べて9~10月以降の天候が安定しているため、葡萄栽培にはとても都合が良いのです。
土質もミネラルが豊富で、地中には葡萄根の活動に不可欠な酸素も多く含まれているんです。
※パッソピッシャーロの区画(コントラーダ)詳細
(1)キアッペマチーネ【C】 Chiappemacine ◇標高550m 約1.2ha ◇80年以上の樹齢 火山性土壌と石灰層の混じる土壌で石が多い
(2)ポルカリア【P】 Porcaria ◇標高600~700m 約1.5ha ◇80年以上の樹齢。 日照量が多く、古くから伝わる区画
(3)シャラヌオーヴァ【S】 Sciaranuova ◇標高850~900m 約0.9ha ◇80年以上の樹齢。 200年ほど前の若い溶岩流で形成された土壌を持つ
(4)グアルディオーラ【G】 Guardiola ◇標高800~1000m 約2.3ha ◇100年以上の樹齢 標高が高く、1947年の噴火で畑の傍を溶岩が流れたエトナ山の噴火の生々しさを物語る偉大な区画
(6)ランパンテ【R】 Rampante ◇標高1000m 約1.7ha ◇100年以上の樹齢 段々畑になっており砂質が豊富な土壌。標高が高く、最後にブドウが熟すため最も収穫が遅い
◆ネレッロ・マスカレーゼ=エレガンス
最近の研究で、ピノ・ノワールのDNAに似ていることが明らかになったネレッロ・マスカレーゼ。
しかし、「ネレッロ・マスカレーゼ=エレガンス」の方程式が成り立つのは、標高500メートル以上で作られる葡萄のみと言われています。 (標高500メートル以下では、粗くヘビーしかなりえません)
葡萄畑の標高が高いほど繊細さ、上品さ、また洗練を表現することが可能になると言えます。
また、畑に存在する溶岩がどこから流れてきたかによっても土質は変わり、クリュ(畑)ごとの地質がネレッロ・マスカレーゼに与える影響は大きく、このためシチリアのピノ・ノワールと言われています.。
◆フランケッティさんの眼力
処々の歴史的背景から、衰退の一途を辿っていたエトナ山のネレッロ・マスカレーゼ種栽培。
数年前にこの地を訪れたフランケッティさんは、彼独特の勘でネレッロ・マスカレーゼ種のポテンシャルを見出します。
そして彼がワイン醸造を始め、出来たワインを世に発表した後から、世界がエトナ山に注目し始めます。 現在では40社近くが自社醸造&瓶詰めを始めたワイナリーが存在しています。
◆フランケッティ家の歴史
フランケッティ家は中世以降チュニジアからイタリアに渡ってきたと考えられています。
現在までフランケッティ・ファミリーから排出された人たちのイタリア社会における貢献度は計り知れません。
政治家、銀行家、音楽家、学者、芸術家、探検家、パルチザンの英雄・・・などあらゆる分野にわたり活躍したフランケッティの名がイタリア歴史上に現れます。
またロスチャイルド家(ロートシルト)とも親戚関係にあります。
アンドレアさんも若い頃は映画俳優になるなど、感性豊かな生活を送っていましたが、ある時ワインというものが、自分自身を照らしてくれ、自分が表現できる意味ある人生にしてくれると感じ、ローマを離れトスカーナの地でワイン造りを始めることになります。
彼のワイン造りは独学ですが、全てが発想豊かなアイデアに溢れています。そんな彼を人は「鬼才」と呼び、イタリアワイン界において特別な存在となっています。
◆フランケッティさんとのセミナー
2012年1月23日、超多忙な合間をぬって、フラッケッティさんは当店で約2時間、セミナーを開いて下さいました。
でも、もともと「単店でのセミナー等は一切しない」がモットーのフランケッティさんが、なぜ当店でのセミナー開催になったのか・・・
それは、私〈Francesco〉が2011年6月に「パッソピッシャーロ(シチリア島)」を訪問したものの、急用で彼は留守。。。(泣)
でも半年後に日本を訪れた彼は、「約束は守ったぞ!」とばかりにセミナーを開いて下さいました。
「鬼才」とか「変人」とか形容されるフランケッティさんですが、全くそのようなことはありません。 紳士かつ雄弁な彼は、参加者を前に悠然と語ってくれたんです。
その人柄は、ワインにもきっちり映し出されています。 フランケッティさんのワインを味わうには、こういう背景を知ることも味わいのひとつ・・・と感じました。 〈Francesco〉 |
2011年6月 現地へ行ってきました!
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